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井上冬彦がテーマとして撮り続けるサバンナという共生の大地、そしてそこに生きづく動物たちの生命。サバンナの大自然には、生命の本質について思い出させてくれる力があります。
その生命の循環という大きな流れの中に自分自身がいることに気付いた時、人の心はきっと癒されていくでしょう。そのようなサバンナとそこに生きる生命の素晴らしさを感じていただきたい。東アフリカ・サバンナの大自然に息づく生命のきらめき、そして、新たに取り組み始めた、美しい日本の四季をご覧いただければ幸いです。
写真活動の歴史
32歳で写真を本格的に始める
写真には興味がありましたが、本格的に始めたのは、初めてアフリカに行った32歳の時からです。子どもの頃から憧れていたアフリカ・サバンナに初めて訪れたのは、医師になって8年目のことでした。その時の深い感動を写真で伝えたいと思い、写真活動に入ったのです。
しかし、父から借りた一眼レフと暗いズームレンズで撮った最初の写真は悲惨なものでした。それが悔しくて、半年後に自分のカメラとレンズを買って再挑戦したのですが、そんなに甘くはありませんでした。以後、独学で写真に取り組み、3度目の旅から少しずつ撮れるようになってきましたが、当時はまさか自分が写真家になるなんて思ってもいませんでした。当時は鳥を中心に撮影し、身の程知らずにも「鳥の写真で勝負しよう」なんて思っていたのです。
5回目の旅から撮影対象の変化 35歳
私の撮影のスタンスを変えたのは、ヌーの川渡りとあるチーター家族との出会いからでした。初めて見たヌーの川渡りの迫力に圧倒され、また当時は行くたびに見ることのできたチーターの子どもたちの可愛らしさにすっかり魅せられてしまいました。通い始めて2年半程たった頃です。以後、撮影の主体が動物、とくにライオンやチーターといったネコ科と大移動をするヌーが主体となっていきました。
8年目におこなった初めての写真展 感動から癒しへ
撮影で心がけていたのは、感動の瞬間にシャッターを押すことでした。しかし、当時は何もわからず、漠然と感動した瞬間を切り取っていたように思います。最初の大きな転機は、初めておこなった写真展でした。「感動を伝えたい」という想いで行った写真展。会場でそれが伝わった喜びに浸っていました。
しかし、私を変えたのは多くの人の「癒されました」「元気になれました」「今日一日幸せな気分でいられそうです」という感想文だったのです。その時気付いたのは、サバンナの自然の中で私自身が癒されて元気をもらっていること、そしてその気持ちが写真を通して他者に伝わる、ということでした。以後、人を癒せるような写真が撮りたいと考えながら撮影を続けるようになりました。
10年(42歳)にプロとして活動開始(医師との両立)
癒しからいのちへ
癒しの写真を追及して3年後に写真展『サバンナに心癒されて』を行えました。その写真展がきっかけで講談社から出版できたのが写真集『Breeze in Savanna』です。その出版記念写真展で転機が訪れました。
ある女性が涙を流しながら会場を巡った後に書いてくれた感想文には、「すべてのいのちはつながり、私もその大きな流れの一部。その気付きに勇気付けられた」という内容の文章が書かれてたのです。私の写真を観て、生命の本質を感じる人がいることに気付いた瞬間でした。
生のみを重視し、死が忌み嫌われるのが現代の風潮です。しかし、生と死のある『命』が、本当の生命なのだろうか、という思いも芽生えていました。サバンナで大自然の営みを観ているうちに、生が死に、死が生に変化しながら悠久の時を生きているもうひとつの生命の存在を感じるようになっていたからです。
その生命を私は『いのち』と呼び、それが生命の本質ではないか、感じるようになっていました。しかし、当時は両者の関係がよく分かっていませんでした。「目を背けず、自然を見つめ続けていれば、やがてみえてくるはず」と思ってサバンナに通い続け、3年後に生命をテーマにした写真集『Love Letter』をPHPから出版できたのです。写真のキャプションは、動物のことには触れずに生命のメッセージのみを書きました。
自分の医療を目指す(50歳)
3冊目の写真集出版後もしばらく順調だった写真の依頼が突然減ってきました。48歳の時です。何かのメッセージと思い、その意味を考えました。たしかに写真は多少惰性になっていました。医療も写真との両立で中途半端になっていたように思います。その時、「今一度自分の目指す医療に挑戦してみよう」と決断したのです。そして、50歳で開業しました。
当然、しばらく写真活動は無理だと思っていましたが、2年目から取材には行けるようになりました。本格的な写真表現活動は半休止状態(依頼があった時のみ行う)でしたが、この期間は生命に対する思索を重ねる重要な期間だったと思っています。
写真活動再開
開業後は、人事や経営のことで苦悩することばかりでしたが、医療は一歩ずつ自分の目指す方向に向かっていました。理念に向かいすぎる自分の思考が、開業医という現実との折り合いの中で悩み続けることで多少バランスが取れてきたように思います。しかし、写真表現活動をやめてしまえば、また逆の意味で現実的になりすぎてしまうような気がしていたため、60歳を契機に、医療に対するモチベーションを保つためにも写真活動の全面再開を決めたのです。
そして、写真展『サバンナ いのちの物語』を行い、その成果が4冊目の写真集『Symphony of Savanna -サバンナいのちの交響楽-』に結実したのです。その出版記念を兼ねて62歳で30周年記念写真展『Symphony of Savanna』を行えました。
「これが集大成。一区切りかな。」と思っていましたが、その写真展に来てくださった光村図書出版(教科書で有名)の方が「子ども向けの生命の写真集を創りませんか」と声をかけてくださいました。写真集の形で生命を表現することは難しいと思い始めていた私は、先に文章を書き、それに写真を合わせていくという初の試みを提案しました。そしてできたのが写文集(写真絵本)『マイシャと精霊の木』です。親と子で生命について考えてほしいという想いを込めて創りました。
2021年にはサバンナのネコ科の写真集『サバンナのネコ』を上梓できました。ネコ科は、私がもっとも好きな動物で、撮影に一番時間を費やしてきたのです。この5冊目の写真集は私のツアーに参加されたネコ好き編集者との出会いによって生まれました。
国内撮影
2020年から続くコロナ禍。クリニックのほうも受診抑制や感染対策などで一時たいへんな状態でしたが、アフリカ取材もしばらく断念せざるをえなくなりました。この危機をどう乗り超えるのか。こもりっきりでは、精神的にも肉体的にも老いてしまうのは確実です。
元気に診療を続けるためにも、他に打ち込むものもない私には新たな撮影目標が必要でした。答えはすぐに出ました。それは美しい日本の四季の撮影です。忙しい診療の合間ですから、それほど時間をかけることはできませんが、日帰りや車中泊の旅を続けながら身近な自然の撮影を続けるようになりました。
重い写真機材を抱えながら、一日自然の中を歩く行為は、普段の診療で疲れ果てた脳にはとてもよいことだと感じています。
サバンナのネコ
あるネコ好き編集者との不思議なご縁でできた2021年3月28日出版の最新写真集。64回の取材の中でとくに力を入れて取り組んできたのがチーター、ライオン、ヒョウ、サーバル、カラカルなどのネコ科動物です。彼らの美しさと子どもたちの可愛らしさ満載の小型の写真集です。
マイシャと精霊の木
30年以上問い続けてきた生命の意味。しかし、それを表現するのは至難の業です。「写真集の形では難しい」と思っていた矢先に、光村図書出版から声をかけていただきました。初めて文章を先に書き、それに写真を合わせる形で創った生命の写文集(写真絵本)です。マイシャとはスワヒリ語で生命の意味です。
Symphony of Savanna– サバンナ いのちの交響楽 –
サバンナに通い続けて30年。医師と自然写真家のふたつの視点でとらえ続けてきた生命について表現した2冊目の写真集。三村 淳さんとの2度目のコラボレーションで創りました。
Love Letter
サバンナに通い続けているうちに気づき始めた生命の意味。空と大地、そして生きとし生けるものはすべてひとつにつながっている。その瞬間を切り取った写真は人の心を癒すのです。生命をテーマに創った写真集第一弾。構成は三村 淳さんです。
サバンナの風に吹かれて
サバンナの大地の中で癒されている自分。私の写真を見て癒されたと言ってくださる多くの人たち。この気づきをもとにサバンナの持つ癒しの力を表現した写真集です。
サバンナが輝く瞬間(とき)
東アフリカのサバンナに息づく生命の躍動を追った9年間の取材から厳選した91点。この初めての写真集で6回林忠彦賞を受賞しました。
写真絵本
1998年 | はしれ!ちびっこチーター ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
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1998年 | まいごのライオンぼうや ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
1998年 | ジャッカルのかぞく ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
1998年 | がんばれ!キリンの子どもたち ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
1998年 | シマウマのおとうさん ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
1998年 | ゾウのあかちゃん ひかりのくに社 羽仁進氏と共著 |
2003年 | チーター はしる! チャイルド本社 |
2016年 | ライオンの赤ちゃん 新日本出版社 |
2016年 | シマウマの赤ちゃん 新日本出版社 |
2017年 | ゾウの赤ちゃん 新日本出版社 |
略歴・社歴
医師として
日本消化器内視鏡学会認定専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医、日本内科学会認定医。
1954年 | 東京で生まれる |
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1979年 | 東京慈恵会医科大学卒業 20年間、同大学附属病院に内科医として勤務 |
1992年 | 同大学・内科学講師 |
1999年 | 恵仁会・松島クリニック・診療部長 |
2005年 | 横浜市綱島に井上胃腸科・内科クリニック開院・院長 |
2014年 | 徒歩一分圏にクリニックを拡張・移転 医療法人 井上胃腸内科クリニックと名称変更(理事長・院長) 新クリニックは写真パネル約70枚を常設展示している。 |
会社名 | 医療法人 井上胃腸内科クリニック |
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所在地 | 〒223-0053 横浜市港北区綱島西3-2-20 綱島別所プラザ2階 |
TEL | 045-540-7754 |
写歴
サバンナには64回通い続け、延べ滞在期間は約900日となった。
日本写真協会会員。
1987年 | 初めて東アフリカのサバンナを訪れた時の感動から写真活動に入る |
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1995年 | 写真展『サバンナが輝く瞬間』で写真家としてデビュー |
1997年 | 写真集『サバンナが輝く瞬間』で第6回・林忠彦賞を受賞 |
1999年 | 井上冬彦・写真事務所設立 |
写真展
『いのち』などをテーマに、多数の講演や小中学校で道徳の授業を行っている。
1995年 | 『サバンナが輝く瞬間』銀座・富士フイルムフォトサロン |
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1996年 | 『アフリカ・野生の瞬間』朝日新聞・東京本社ギャラリー |
1997年 | 林 忠彦賞・受賞記念写真展 徳山市(現・周南市)美術博物館、コンタックスサロン |
1998年 | 『サバンナに心癒されて』銀座・富士フイルムフォトサロン |
2000年 | 『サバンナの風に吹かれて』新宿・ペンタックスフォーラム |
2003年 | 『サバンナにいのち輝く』新宿・ペンタックスフォーラム、大阪・阪神百貨店・美術画廊など |
2004年 | 『サバンナ -いのちの情景-』調布市・文化会館 |
2007年 | 『いのちの輝き』京王プラザホテル宴会場(年末年始の特別イベントとして) |
2013年 | 『サバンナの息吹』横浜市動物公園ズーラシア |
2016年 | 『サバンナ いのちの物語』富士フイルムフォトサロン東京 |
2017年 | 『Symphony of Savanna』30周年記念写真展 ヒルトピアアートスクエア |
2019年 | 『サバンナ 動物家族の物語』イトーヨーカドー綱島店 アフリカ開発会議関連イベント |
2019年 | 『MAISHA-サバンナ 光と闇の物語-』富士フイルムフォトサロン東京 |
その他、医療・福祉関係の施設や医学系学会で『癒しの写真展』を多数開催。
著書
『いのち』などをテーマに、多数の講演や小中学校で道徳の授業を行っている。
1996年 | 写真集『サバンナが輝く瞬間(とき)』 三修社 林忠彦賞受賞 |
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1998年 | 写真絵本 『愛情いっぱい動物記』ひかりのくに社 羽仁 進氏と共著 ライオン、シマウマ、ジャッカル、チーター、ゾウ、キリンを担当 |
2000年 | 写真集『サバンナの風に吹かれて』 講談社 |
2003年 | 写真集『ラブレター ―母なる大地に想いを込めて―』 PHP |
2003年 | 写真絵本『チーター はしる!』 チャイルド本社 |
2016年 | 写真絵本 動物の赤ちゃんシリーズ 『シマウマの赤ちゃん』 『ライオンの赤ちゃん』 新日本出版社 |
2017年 | 写真絵本 動物の赤ちゃんシリーズ 『ゾウの赤ちゃん』 新日本出版社 |
2017年 | 写真集『Symphony of Savanna -サバンナいのちの交響楽-』 新日本出版社 |
2018年 | 写文集(写真絵本)『マイシャと精霊の木』 光村図書出版社 |
2021年 | 写真集『サバンナのネコ』 ホーム社・集英社 |
お問い合わせFUYUHIKO INOUE Breeze in Savanna
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自然写真家と内科臨床医、ふたつの視点でいのちを見つめている
写真家 井上冬彦のホームページです。
「生と死」、「共生」、「自然の掟」などをテーマとした講演活動も行っています。